現役動画ディレクターが解説!動画制作の流れ・工程、一般的なスケジュール【初めての依頼向け】

現役動画ディレクターが解説!動画制作の流れ・工程、一般的なスケジュール【初めての依頼向け】

新商品の紹介やイベント内の説明動画など、様々な場面で使用される動画。
動画を制作したいと考える方も増えていますが、いざ動画を制作するとなると 「専門的知識がない」「何から始めたらいいか分からない」ということも。 

実は、動画の制作はそれなりの時間や手間を要します。
動画制作の知識や経験がない場合は、制作会社に依頼するのが無難です。
ただし、制作会社に依頼するにしても、事前に適切な手順を理解した上で、必要なものを用意しておかなければ、時間ばかりがかかり、納得のいく動画が制作できません。
最悪の場合、お金を無駄に使うことになってしまいます。

そこでこの記事では、 制作会社に依頼した場合の「動画制作の流れ・工程、一般的なスケジュール」をご紹介します。 
動画制作を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

1.動画制作の流れ

動画制作の流れは以下のようになっています。

お問い合わせ

訪問/ヒアリング

企画の提案

見積もり

発注

事前の打ち合わせ

撮影準備および撮影

編集

納品

それぞれの工程ごとにポイントがあります。
 一つずつポイントを押さえて、手順通りに進めることが大切です。 
詳しく見ていきましょう。

1-1.お問い合わせ

まずは制作会社に依頼を出します。
これが「お問い合わせ」と呼ばれるもので、動画制作のスタート地点です。

 問い合わせに必要なのは、主に以下の3点です。 

・動画を制作する目的
・動画の利用用途
・希望の納期や予算

1-2.訪問/ヒアリング

制作会社へのお問い合わせが済んだら、訪問およびヒアリングが行われます。

ヒアリングとは、お問い合わせ時よりもさらに詳しい情報確認をして、動画のイメージを明確にする作業のこと。
ヒアリングの際に依頼主と制作会社で、動画の完成イメージを近づけていきます。
 動画制作に慣れていない方は、イメージが明確になっていないこともあると思いますが、担当コンサルタントやプロデューサーがイメージを具体化する手伝いをしてくれます。 

ヒアリングで確認するのは、主に以下の7点です。
依頼主は必要な情報を用意しておいてください。

➀予算
➁動画を制作する目的
➂動画の利用用途
➃コンセプト
➄ターゲット
➅動画制作で重視するポイント
⑦納期

1-3.企画提案

制作会社はヒアリング後、動画の構成や流れなどに加えて、撮影から編集のスケジュールまで、動画制作全体の企画を提案します。
依頼主は企画提案書を見て、 コンセプトや方向性が合っているか、予算や納期に問題がないかを確認してください。 

1-4.見積もり

動画制作にかかる費用は、制作会社が提示する見積書で確認します。
費用は大きく分けて以下の3種類。

➀企画制作費
映像企画や進行や品質管理など、動画そのものにかかる費用です。金額は動画の尺によって変動します。

➁撮影技術費
動画を撮影するスタッフや出演キャストの人件費・スタジオやロケ地の使用料・カメラや照明などの撮影機材費のことです。動画によって金額に差があり、特に出演キャストに、有名タレントを起用した場合は1本数千万円の費用がかかることもあります。

➂編集技術費
撮影した動画に音楽やテロップをつける編集や収録に必要な費用・オリジナルBGMやナレーションの制作費のことです。

1-5.発注

制作会社の企画提案や見積もりに問題がなければ、依頼主は動画の制作を発注します。
この発注により、正式な契約となります。

 しかし、動画は完成するまで、ほかの物と違って内容の確認ができません。
発注前に問題点や相違点がないか、しっかりとチェックしましょう。 

発注前の最終確認として特に気をつけてほしいのが、以下の3点です。

・企画提案書の内容が見積書に記載されているか
 企画提案書の内容と見積書を照らし合わせて、相違がないかよく確認してください。 
企画提案書に記載があっても、見積書に記載がない場合、完成した動画に希望の内容が盛り込まれてない可能性があります。
反対に、企画提案書にない内容が見積書に記載されている場合、無駄な費用を支払うことにもなりかねません。
どの部分にどれくらい費用がかかるのか、入念に確認する必要があります。

・権利の帰属先
制作した動画をどこでどのように、いつまで使うのかを明確にする必要があります。
BGMやキャストの権利は依頼主ではなく、別の団体に帰属することがほとんど。
例えば、出演キャストに有名タレントを起用した場合は、基本的に契約期間が決まっており、その期間でしか使用できません。

・情報漏洩対策
制作会社が動画を制作する上で、依頼主から得た情報を外部に漏らさないように対策を行う必要があります。
特に新商品やサービスについての動画などは、動画の公開日まで情報が漏れないように注意しましょう。
制作会社とは機密保持の契約や取り決めをするのが一般的です。

1-6.事前の打ち合わせ

依頼主と、制作会社のプランナーやディレクターによる事前打ち合わせを行います。
打ち合わせの内容は、動画内容からスケジュールまで動画制作全体について多岐にわたります。

1-7.撮影準備および撮影

打ち合わせが済んだら、いよいよ動画制作です。
基本的には撮影から始めますが、動画の内容やスケジュールによってはCGやアニメーションの制作も同時に進行します。
ここでは、一般的な撮影の流れについて詳しく見ていきましょう。

➀ロケハンとスタジオの確保
動画の撮影を担当するスタッフ(カメラマンや照明・音声など)およびロケハンや、撮影場所を確保します。
カメラマンはアシスタントも含めて人数が増えるほど人件費がかかりますが、 高性能のカメラを使用した場合もその分だけ費用がかかる点も留意しておきましょう。 
また、撮影場所は動画内容に合わせて選び、屋外のロケ地やスタジオなどを借りる際は、撮影の許可が必要です。
屋外の場合、天候によってはスケジュールどおりに進まない可能性もあるでしょう。

➁キャスティング
動画に出演するモデルやタレントを選びます。
動画内容に合うように制作会社が選ぶこともあれば、動画の依頼主の希望を聞いた上で選ぶこともあります。
制作の規模によってはオーディションを行うため、それなりの時間がかかることも珍しくありません。

➂撮影
ロケ地の確保やキャスティングなど、すべての準備が整ったら、依頼主の立ち会いのもと、制作会社が撮影を行います。
依頼主は問題がないか様子を確認し、問題点を見つけたらその都度、制作会社に伝えましょう。

1-8.編集

撮影した動画を、使用目的に合わせて編集します。
 編集の仕方によって動画全体のクオリティに大きな差が出るため、制作の中でも重要な部分です。 
作業は最も時間や費用を要する部分でもありますが、ここで妥協してしまうと、撮影した映像のクオリティを下げてしまうことも。
依頼主も、編集の仕方や流れを理解して、適切な編集が行われているかチェックしましょう。
以下が一般的な編集の流れです。

➀撮影した映像の編集
まずは、撮影した映像に企画提案書どおりの内容や、カットが含まれているかを確認します。
これを仮編集(オフライン編集)といい、主に大まかなカット割などを行う作業です。
カット割りが終わったら、企画提案書に沿って写真・イラスト・アニメーション・CGなどを加えて、形式を整えることで見やすい動画を作っていきます。

➁初校の提出
映像の編集を終えて動画制作が完了したら、制作会社は依頼主に一旦動画を確認してもらいます。
これが初校提出です。
依頼主は動画を確認して、イメージに合っているか、企画提案書の内容と相違がないかをチェックします。
追加する部分や問題があった場合は、修正の依頼が可能です。
ただし、撮影のし直しなど大規模な修正依頼は、その分だけ費用が上乗せされることがほとんど。
予算を超えてしまうことは覚悟しておきましょう。
また、納期が伸びてしまう可能性も高いので、どうしても期日に間に合わせたい方は注意してください。

➂MA(Multi Audio)
MAとはMulti Audioの略で、編集を終えた後の映像の仕上げ作業のことです。
別名「ポストプロダクション(ポスプロ)」アニメでは「ダビング」とも言われます。
具体的には、BGM・ナレーション・効果音などをミキシングしたり、ノイズなど不要な音も排除したりします。
MAの作業範囲は動画によって異なりますが、オリジナル楽曲を使用する場合はレコーディングを行うこともあります。

 以下の3点がMAの主な作業内容です。 

・BGMの選定と挿入
動画のシーンに合わせて音楽を選定して、挿入します。

・ノイズの除去
撮影場所や天候によっては、動画とは関係のない周囲の環境音や風の音が入ってしまうことがあります。
また、一見静かに思えるスタジオでも呼吸音やリップノイズが入ってしまったりすることはよくあることです。
広告など第三者に観てもらう動画で、そのようなノイズをそのままにしておくのは、あまり良い印象を与えません。
ノイズの除去は、クリアで見やすい動画を提供するために欠かせない作業です。

・音声の収録
音声の収録とはいわゆる「アフレコ(After Recording)」のことです。
撮影した映像とは別にナレーションなどを収録して、動画内で伝えたい情報やメッセージを、より分かりやすくします。
また、撮影時のミスによって音声が入っていないことはよくありますが、その部分にアフレコを当てることで、観た人には撮影時に収録された音声として聞こえます。
 撮影よりも手軽に行えるため、撮影で足りない部分をナレーションで補い、全体のコストカットをすることもできるでしょう。 

1-9.納品

編集作業が終わり、すぐに使用できる状態まで動画が完成したら、制作会社から依頼主に納品されます。
納品方法および媒体は事前に依頼主から指定された方法です。
WEB用・販売用・配布用など、目的に応じて適した媒体は異なります。
 どの媒体が動画の効果を発揮できるか、考慮した上で選びましょう。 


2.実写とアニメーションの違い・使い分けは?

動画制作は実写動画もしくはアニメーション動画の二択で行われますが、相性の良い動画はそれぞれ異なります。
以下が相性の良い動画の一覧です。

・実写動画と相性の良い動画:会社・学校・店舗紹介、採用動画、インタビュー動画、有形の商品紹介、バズリを狙った動画
・アニメーション動画と相性の良い動画:サービス紹介動画、長く使用したい動画

 求める効果を発揮するためには、実写かアニメーションかを選択することはとても重要です。 
ここからは、実写動画とアニメーション動画の特徴について見ていきましょう。
メリットとデメリットも合わせてご紹介します。

【実写動画の特徴とメリット】

実写動画はドラマのように、実際の人間が動いたり話したりする動画のこと。
リアルに近い映像を見せることで、説得力・信頼性を高めることができ、動画を観た人が「自分ごと化(自分のことのように感じること)」しやすくなります。
そのため、 建物の紹介や企業理念などを伝える動画との相性が良くなっています。 

SNSでバズりやすいのも特徴で、その理由はアニメではよくある「実際はありえないような面白い映像」を実写でつくることで、インパクトのある動画に仕上がるからです。

【実写動画のデメリット】

 デメリットは、契約期間によって使用できなくなる可能性が高い点です。 
動画に出演するキャストは、基本的に契約期間が決まっています。
契約期間を過ぎれば、新しく動画を作りなさなければなりません。

会社説明動画など、自社の社員を起用する場合であっても、出演した本人が「退職したから使わないでほしい」といえば、その動画すべてが使えなくなるという可能性もあるでしょう。
また、修正に手間がかかる点もデメリットの一つです。
必要な部分の撮り忘れなど、追加で撮影する場合は、出演キャストやスタッフのスケジュールを改めて調整しなくてはなりません。
撮影時間が増えれば、その分だけ費用もかかってしまいます。

【アニメーション動画の特徴とメリット】

アニメーション動画は 基本的に契約期間がないため、長く使用しやすいのが特徴です。 
後から修正する場合でも、出演キャストやスタッフのスケジュール調整は必要ありません。
撮影に使用する機材など、追加でかかる費用も最低限に抑えることができます。
また、実写では撮影が難しい、製品の内部構造の説明や形がないサービスの紹介も、アニメーション動画であれば端的に分かりやすく制作可能です。

【アニメーション動画のデメリット】

デメリットは、動画を観た人からの共感を得にくい点です。
アニメーション動画は「リアルの世界とは異なる別次元のこと」と捉えられ、感情移入してもらえる可能性は低くなっています。
そのため、動画内容に共感してもらうことが重要な採用動画などには不向きです。

【何を求めるかで選ぼう!実写動画かアニメーション動画か】

動画の内容が同じ場合でも、どのような効果を求めているかによって、実写動画かアニメーション動画かが決まります。
例えば、新商品の紹介動画を制作する場合、商品の特徴や構造を主張したいのであればアニメーション動画、商品を使用して「○○すると便利」など共感してほしいのであれば実写が向いているでしょう。
 依頼主は、何のために動画をつくるのかを明確にした上で、制作会社と相談しながらどちらが向いているかを判断してください。 


3.まとめ

この記事では、制作会社に依頼した場合の「動画制作の発注から納品までの基本的な流れ」をご紹介しました。
特にヒアリングは、イメージに合った動画を制作するために、依頼主と制作会社が協力して入念に行う必要があります。
ぜひ、この記事を参考にしっかりと準備をしておいてください。

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